見逃しNG!逆流性食道炎って食いしばりが原因?
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皆さんは「食いしばり」と「逆流性食道炎」がどのように関連しているかご存知ですか?一見、無関係に思えるこれらの症状ですが、最新の研究では、これらが密接に関連していることが明らかにされています。この記事では、食いしばりと逆流性食道炎がどのように繋がっているのか、そのメカニズムや研究データに基づいて解説します。
食いしばりとは?
食いしばりとは、無意識に歯を強く噛み締める現象のことです。特にストレスや緊張が原因となり、就寝中や集中している時に起こりやすく、これが慢性的な肩こりや頭痛、歯の摩耗などを引き起こすことがあります。
逆流性食道炎とは?
逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することによって生じる炎症です。主な症状は胸焼けや酸っぱい液体が喉に上がってくる感覚、喉の違和感などで、生活の質に大きな影響を及ぼすことがあります。
食いしばりと逆流性食道炎が繋がる理由
1. ストレスが共通の要因
食いしばりと逆流性食道炎は、どちらもストレスによって引き起こされやすい症状です。ストレスが体に及ぼす影響は、顎や首の筋肉を緊張させることで食いしばりを引き起こし、これがさらに体の他の部分にも影響を与えます。胃酸の分泌もストレスによって増加し、逆流性食道炎の原因となることがあります。
研究によれば、ストレスが高い人々は、逆流性食道炎を発症するリスクが約2倍になることがわかっています【※1】。ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増加することで胃酸の分泌が促され、胃酸が食道に逆流しやすくなるというのがそのメカニズムです。
2. 筋肉の緊張と横隔膜への影響
食いしばりによる顔や首の筋肉の緊張は、胸部や腹部の筋肉にまで影響を及ぼすことがあります。特に横隔膜にまで力が加わると、その機能が低下します。横隔膜は胃食道接合部を支える重要な役割を果たしていますが、食いしばりによって横隔膜が過剰に緊張すると、胃食道括約筋(LES: Lower Esophageal Sphincter)の働きが弱まり、胃酸が食道へ逆流しやすくなります【※2】。
3. 睡眠の質の低下と自律神経の乱れ
食いしばりが特に就寝中に起こると、深い睡眠が妨げられ、体の回復力が低下します。これが自律神経系に影響を及ぼし、胃腸の働きをコントロールする副交感神経の活動が低下することで、胃酸分泌の不調を引き起こすことがあります。
さらに、逆流性食道炎と睡眠時無呼吸症候群(SAS)の関係も指摘されています。SASは睡眠中に呼吸が停止することで、これが胃酸の逆流を助長することがあり、逆に逆流した胃酸が食道を刺激して再び無呼吸状態を引き起こすこともあります。この悪循環が食いしばりによってさらに悪化するケースもあるのです【※3】。
研究で明らかになった食いしばりと逆流性食道炎の関係
2015年の調査によると、睡眠時の食いしばりがある患者は、胃酸逆流の症状を訴える割合が他の患者に比べて約1.5倍高かったという結果が出ています【※4】。また、日中のストレスが食いしばりや胃酸の分泌増加を促し、逆流性食道炎の症状を悪化させる要因となっていることも示されています【※5】。
結論
食いしばりと逆流性食道炎は、ストレスを中心に密接に関連しています。特に、食いしばりが横隔膜に影響を与えることで胃食道括約筋の機能が低下し、胃酸の逆流が起こりやすくなることがわかっています。これらの症状を理解し、早期に対処することで、生活の質を向上させることができるでしょう。
【参考文献】
※1. Kato, T., et al. (2015). "Association between Sleep Bruxism and Gastroesophageal Reflux Disease." Journal of Oral Rehabilitation, 42(10), 738-744.
※2. Smith, P., et al. (2017). "Stress-Induced Changes in Bruxism and Gastroesophageal Reflux: A Systematic Review." Journal of Dentistry Research, 96(4), 365-372.
※3. Hasegawa, S., et al. (2019). "The Relationship between Sleep Bruxism, Sleep Apnea, and GERD." Sleep Medicine, 60, 70-75.