胃炎が引き起こす食いしばりのお話
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いつも胃のあたりがムカムカするなぁ。何度も唾液を飲み込んでしまう。
こんな症状がある人は要注意。
胃炎や胃食道逆流症(GERD)といった胃の不調が、意外な形で私たちの口腔健康に影響を与える可能性があることをご存知ですか?その一例が食いしばり、つまりブラキシズムです。本記事では、胃炎と食いしばりの関係性について、世界中の研究や論文を基に詳しく解説します。
胃食道逆流症と食いしばりのメカニズム
鹿児島大学の研究によると、睡眠中の歯ぎしりや食いしばりが胃食道逆流症と関連している可能性が示唆されています。胃酸が食道に逆流することで、食道内に酸性環境が生じ、これが刺激となって咬筋の異常な活動を引き起こすことがあります。この現象は、唾液の嚥下による酸の中和を目的とした生体防御反応であるとも考えられています。
実際に、睡眠中に食道内へ酸性溶液を注入する実験では、咬筋の筋電図活動が顕著に増加し、歯ぎしりの頻度が高まることが確認されました。この結果は、胃酸の逆流が歯ぎしりを誘発する可能性を強く支持するものです。
胃酸と口腔環境の変化
胃酸の逆流は口腔内の環境にも影響を与えます。酸性度が高まることで歯のエナメル質が溶解しやすくなり、口腔内細菌叢のバランスが崩れる可能性があります。これにより、歯ぎしりや食いしばりがさらに悪化する可能性があります。なので就寝前の油っこい食事は控える事をおすすめします。
ヘリコバクター・ピロリ菌の影響
胃炎の原因として広く知らエリコバクター・ピロリ(H. pylori)は、胃内環境の酸性度や炎症状態に大きな影響を与えます。この菌が関与する胃炎や胃潰瘍は、食いしばりの症状を悪化させる可能性があります。一部の研究では、H. pylori の除菌治療を行うことで、胃の不調が改善し、それに伴ってブラキシズムの症状が軽減することが報告されています。お酒飲みの方は一度疑った方がいいかも?
胃と脳の相互作用
興味深いことに、胃と脳の相互作用がブラキシズムに関与している可能性も指摘されています。胃の不調が迷走神経を介して脳に影響を及ぼし、ストレスホルモンの分泌を増加させることがあります。このストレス反応が咬筋の緊張を高め、食いしばりの症状を引き起こす可能性があります。
予防と対策
胃炎や胃食道逆流症による食いしばりを防ぐためには、胃の健康を保つことが重要です。以下のような対策が有効です:
- 食生活の改善:脂肪分や酸性度の高い食品を控え、バランスの取れた食事を心がける。就寝前は特に注意!
- ストレス管理:ストレスを軽減することで、胃の不調とブラキシズムの両方を予防できます。深呼吸して横隔膜を伸ばしましょう!
- 医療機関での診断と治療:胃炎や胃食道逆流症が疑われる場合は、早めに医師の診断を受け、必要に応じて適切な治療を受けましょう。根治治療ではないですが、食いしばりが癖になることを考えればひとつのオプションだと思います。
- 口腔ケア:ナイトガードの使用や歯科医師による定期的なチェックを行い、ブラキシズムの影響を最小限に抑える。
結論
胃炎や胃食道逆流症が食いしばりを引き起こす可能性があることは、これまでの研究で徐々に明らかになってきました。胃の健康を守ることが、口腔の健康にもつながることを理解し、日々の生活習慣を見直すきっかけにしていただければ幸いです。