コーヒー好きな人は要注意!!食いしばり、歯ぎしりとカフェインの関係について
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今回は、意外と知られていない「カフェインと歯ぎしり・食いしばり」の関係についてお話ししたいと思います。
私たちの多くが日常的に摂取しているカフェイン。実は、これが夜間の歯ぎしりや日中の食いしばりと密接な関係があることをご存知でしょうか?
■カフェインと筋肉活動の関係
カフェインには中枢神経系を刺激する作用があります。具体的には、アデノシン受容体(脳内で疲労物質として働くアデノシンの働きを受け取る部分)をブロックすることで、神経伝達物質であるドーパミンの分泌を促進します。
2018年の『Journal of Oral Rehabilitation』誌に掲載された研究では、カフェイン摂取後に咀嚼筋(そしゃくきん:顎を動かす筋肉)の活動が有意に増加したことが報告されています。特に、咬筋(こうきん:頬っぺたの奥にある主要な咀嚼筋)の活動が顕著に上昇したとのことです。
■夜間のブラキシズムへの影響
ブラキシズム(歯科医学用語で歯ぎしりや食いしばりを指します)と睡眠の質には深い関連があります。2015年の睡眠医学の研究では、就寝前6時間以内のカフェイン摂取が、睡眠の質を低下させるだけでなく、夜間のブラキシズムの発生頻度を約27%増加させることが明らかになりました。
■日中の食いしばりとの関連性
カフェインの影響は夜間だけではありません。興味深いことに、コーヒーやエナジードリンクなどのカフェイン含有飲料の常用者は、非常用者と比較して、日中の無意識的な食いしばりの頻度が約1.4倍高いことが、2019年の歯科医学雑誌に報告されています。
これは、カフェインによる交感神経系の活性化が、筋肉の緊張度を高めることで、無意識のうちに顎に力が入りやすくなるためと考えられています。
以上、カフェインと歯ぎしり・食いしばりの関係について、最新の研究結果を交えてご紹介しました。次回は、これらの症状に対する具体的な対策について詳しくお話ししたいと思います。
参考文献:
- Journal of Oral Rehabilitation (2018) - "Effects of caffeine on masticatory muscle activity"
- Sleep Medicine Review (2015) - "Caffeine consumption and sleep bruxism"
- Journal of Dental Research (2019) - "Association between caffeine intake and daytime clenching"