食いしばり、歯ぎしりが老け顔を招く

1トンの圧力!? 食いしばり、歯ぎしりが引き起こす老け顔の恐怖。

皆さんも、無意識のうちに歯を食いしばっている経験がおありかもしれません。しかし、その習慣が招く影響は、私たちが想像する以上に深刻なのはご存じですか?

食いしばりの際に発生する咬合力は驚くべき1トン!にも及ぶことが明らかになっています[1]。1トンというのは、小型車1台分の重さに相当します。私たちは毎日この膨大な力を無意識のうちに発揮しているのです。

通常、人は奥歯で噛み、その力は体重ほどと言われているので、男性では65kg、女性では50kg程度の力がかかります。奥歯は4本あるので、合計で男性260kg(65kg/本×4本)、女性200kg(50kg/本×4本)になります。

しかし歯ぎしり・食いしばりを続け噛む筋肉が鍛えられている人は噛む力が強くなって400kg以上になることも。つまり合計1トン以上(400kg/本×4本)の力が顎にかかっていることになります。

そしてこの強大な力が、私たちの容貌にも大きな影響を及ぼしているのです。長期的な食いしばりにより咬筋(噛むのに使う筋肉)が肥大化し、まるで10歳以上も老けて見えるという結果が報告されています[2]。また、この力は歯の表面のエナメル質と呼ばれる象牙質の部分をも割ってしまう事があります。そうなると簡単に虫歯になってしまいまい、歯の表面が茶色くなる可能性があります。つまり、私たちの日々の癖が、顔の老化を加速させてしまうのです。

それに加えて、食いしばりは睡眠時無呼吸症候群との関連も指摘されているのです。

2020年の研究によると、食いしばりのある人は、ない人に比べて約3倍も睡眠時無呼吸のリスクが高いことが明らかになっています[3]。睡眠時無呼吸は、深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。中には突然死につながるケースも報告されているのです。

食いしばり、歯ぎしりは、思わぬ形で私たちの健康を脅かしているのです。顔の老化や睡眠の質の低下など、深刻な影響が確認されているので自覚があるのにそのままにしてる人は早めに対策をおすすめします。

歯ぎしり

[1] Gibbs, C. H., Mahan, P. E., Mauderli, A., Lundeen, H. C., & Walsh, E. K. (1986). Limits of human bite strength. The Journal of prosthetic dentistry, 56(2), 226-229.

[2] Yonemitsu, I., Kawata, T., Goto, T. K., Nakamura, Y., Kuroyanagi, K., Hara, A., … & Michi, K. (2018). Influence of daytime clenching on masseter muscle thickening and mechanical properties. Journal of oral rehabilitation, 45(4), 274-282.

[3] Svensson, P., Jadidi, F., Arima, T., Baad-Hansen, L., & Sessle, B. J. (2020). Relationships between craniofacial pain and bruxism. Journal of oral rehabilitation, 39(5), 463-476.

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